プレーモデルと選手育成

今日も某ユースカップの決勝戦を観戦してきました。

 

勝戦に進出したのはJ2下部組織のユースチーム(赤)と、おそらく和歌山県の高校チーム(グレー)です。

 

Jユースは4-2-4変形のシステムを採用しているようで2列目の中央を空けておいて、トップもしくはサイドの選手が中央に入ってくる戦術と思われます。

何年か前にジュニアユースチームが全国大会の決勝戦に勝ち残ったチームも選手同士が連動して空けたスペースに選手が流動的かつある程度の決まりごとの中でポジションを変える戦術でゲームの主導権を握るチームでした。

 

高校チームは4-2-3-1で基本的にショートパスを繋ぐスタイルですが前方にスペースがある場合は積極的に裏を狙い、相手が定位置地ディフェンスになるとサイドを起点にして人数をかけて相手選手を誘い出して密集を個人技で打開してチャンスを創るのが得意な攻撃だと感じました。

 

前半の立ち上がりは高校チームが個人技を中心に攻め込みますが決定機を作るまでには至りません。

次第に2列目中央に選手を配置せずにビルドアップ時にポジションを流動的に変えるプレーモデルを持つJユースがボールを繋ぎペースを握ります。

前半の中頃にスルーパスを含む良い崩しからエリア内に侵入してシュート場面を創った流れでJユースがコーナーキックを獲得します。

キッカーは私のシニアチームのチームメイトでジュニアやジュニアユースでコーチを務める知人の息子さんです。

質の高いボールにアンダーカテゴリーの日本代表候補で長身のセンターDFがヘディングで合わせてJユースが先制しました。

Jユースがゲームをコントロールしたまま前半は1-0で終了しました。

 

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後半の開始からは高校チームがペースをつかみJユースは奪ったボールを巧く繋ぐことができない展開が続きます。

しかし、再びコーナーキックをグラウンダーで繋いだボールをダイレクトで逆のサイドネットに豪快に決めた知人の息子さんの見事なゴールで追加点を奪うことに成功します。

2点のリードを得たJユースは前方向へのパスが少なくなり、ベンチからもボール保持の指示が出ます。

もちろん、カウンターでチャンスの時は攻撃を仕掛けるのですが、攻めるしかない高校チームはベンチからの指示も聞こえていて少しずつ積極的になって行きました。

サイドにボールと人を集めて個人技を中心に幾度かチャンスを創り出し、流れ的には決定機を創ってもおかしくない展開です。

最終的にはJユースは耐えて2-0で試合を終えて見事に優勝しました。

ゲームを優位に進めて2つのコーナーキックからゴールを決めて勝利したJユースですが、せっかくプレーモデルで主導権を握るサッカーをして観ていても面白いのですが、アタッキングエリアでの個人での仕掛けやアイディアを発揮する事は求められていないのか組織で連動した崩しに成功した場面でしかほとんどシュートシーンを観る事はできませんでした。

高校チームはプレーモデルを感じるような内容ではありませんが、個人の技術や密集で浮き球による局面打開を試みたりアイディアを発揮する場面は多かったと思います。

バルセロナなどボール保持に特徴を持つチームは育成年代から確立されたプレーモデルを取得して選手は成長していきますが、ストライカーやドリブルでチャンスを量産するような1人で試合を決めてしまう希有な選手が育ちにくい環境であるかもしれません。

どのようなプレーモデルでも最終的には選手の資質によって魅力的なサッカーが展開できると私は思っています。

プレーモデルと同等に選手の個性を最大限に発揮する魅力的なサッカーを楽しみたいと思います。

育成年代のコーチの皆さんは大変だと思いますが、観る人を魅了するチームを目指して頑張って頂きたいと思います。